ウルフ サンドベルグ(スウェーデン道路研究所) By Dr Ulf Sandberg Swedish National Road and Transport Research Institute (VTI) Linkoping, Sweden E-mail: ulf.sandberg@vti.se (訳:編集委員 藤田 仁(日本道路株式会社)) |
4. 低騒音舗装 -その概要 音響的な観点からみれば騒音特性に関わる基本的な路面のパラメータは以下の5つである。 " マクロ- そしてメガテクスチャ、最大骨材寸法 (MAS)も含む " 空隙 (内部連続空隙) " 層厚 (空隙率が10%以上の層にとって重要) " スチフネス(硬さ) (タイヤの硬さに近い路面のみについて重要) " ミクロテクスチャと粘着性 (この影響については未だ明らかにはなっていない) これらのパラメータとその影響は以下の書籍等に極めて詳しく述べられている [Sandberg & Ejsmont, 2002], [Bernhard & Sandberg, 2005]。そこでいくつかの興味ある事例についてのみ本文では紹介させていただくこととする。 特に技術革新の面から見た興味深い路面タイプとしては以下のものが挙げられる。 " 小粒径骨材路面 " 薄層舗装(TAL) " 2層式ポーラスアスファルト舗装 (DPAC) " エポキシバインダーを用いたポーラスアスファルト舗装 (1層もしくは2層) " 少量のゴムを混合したアスファルト舗装 ( AR) " 多孔質弾性舗装 (PERS); 硬質骨材を含むものと含まないものがある " ダイヤモンドグラインディングしたセメントコンクリート舗装 " 次世代コンクリート路面 (NGCS) 最初の5つはアスファルト舗装であり、最後の2つはコンクリート舗装である。多孔質弾性舗装PERSはゴムとポリウレタン樹脂と硬質骨材を混合したものである。 5. 「騒音低減」と「比較路面」 「低騒音」という言葉は相対的な意味を持つ言葉であり、常に比較すべき対象を持つ。もし音響的に非常に悪い舗装、たとえば横断方向にタイングルービングしたコンクリート舗装と比べればほぼ全ての舗装(通常の密粒度アスファルト舗装も含め)は低騒音舗装となる。この現象は米国では特別のことではない。しかし、この比較が最大粒径11mmの骨材を使用した砕石マスチックアスファルト(SMA)を対象に行われたとしたらほんのわずかの舗装が低騒音舗装と分類されるだろう。「低騒音舗装」という言葉を定義するためには、グローバルな比較路面が必要である。このことについては[Sandberg, 2006]で詳細に扱っているが、そこでは「仮想比較路面(virtual reference surfaces)」の概念を述べている。これは現在、ヨーロッパの交通騒音予測モデル(CNOSSOS-EU)に取り入れられている。仮想比較路面はともに最大粒径11mmの骨材を使用した密粒度アスファルトと砕石マスチック路面を採用している。騒音特性がこの比較路面と同様な実路面が得られれば比較路面として有用であることは間違いない。 日本では最大粒径13mmの密粒度アスファルト(以下DAC13)が通常使用されているが、DAC13は前述の仮想比較路面とはそれほど違わない。DAC13を比較路面とする場合はわずか0.2dBを差し引けば良い。つまり、日本のDAC13を比較路面とした場合には [Sandberg, 2006].で提案した仮想比較路面を使用した場合よりも0.2dB高い騒音低減効果があるということを意味する。これは非常に小さいレベルであり、本文では特に記述しない限り無視することとし、DAC13を比較路面としたか仮想比較路面を用いて騒音低減を記述したかについては特に記述しない。 6. セメントコンクリート路面 セメントコンクリート舗装の騒音低減については大きく2つの技術がありそうである。一つがダイアモンドグラインディング(CGD)でありもう一つがこの技術を進化させた次世代コンクリート路面(NGCS)と呼ばれるものである。どちらの技術も米国で行われスウェーデンでもまた試行されている。CDGは縦断方向に回転するダイヤモンドカッターで溝を付けるもので数mmの深さおよび幅の密なグルービングであるがNGCSはより大きな間隔で同様な溝を作るものである。路面の写真を図―4に示す。 |
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