低騒音舗装−世界的に見たその技術革新(5)


 ウルフ サンドベルグ(スウェーデン道路研究所)
By Dr Ulf Sandberg
Swedish National Road and Transport Research Institute (VTI)
Linkoping, Sweden
E-mail: ulf.sandberg@vti.se
(訳:編集委員 藤田 仁(日本道路株式会社))


  7.3 オランダの国家的 PERSプロジェクト
本プロジェクトの初期の部分については [Hofman et al, 2011]に報告されている。 PERS材料は室内で製作され、機械に搭載されたドラムに巻き取られる。ドラムを現場に運び、現地でポリウレタンを使用して接着する。図―5に施工状況を示す。自動車道A50に沿った休憩エリアへのアクセス道路において延長300mが施工された。騒音低減効果はDAC16に比べて8.5dBとなった(日本のDAC13に比べれば7、5dBの低減と考えられる)。残念なことに舗装はわずか4ヶ月後に崩壊し撤去された。
新しいオランダのプロジェクトが2012年に始まり、2019年まで継続される。2012年から2017年にかけての主な作業が材料の開発である。新しい材料については必ずしも図―7に示した方法で施工される必要はない。
 
 
               
                              図―7 ロールペーブの技術を使用しての PERSの施工。
                                       2009年 Kloosterzandeのテストトラックでの施工。
                                      同じ方法で2009年の自動車道のアクセス道路でも施工された。
                                       写真はベルギー道路研究所 Luc Goubert氏提供。
  8. 少量のゴムを混入したアスファルト路面
米国、特にアリゾナやカリフォルニアでは、アスファルト中に微粒のゴムを混合した舗装が開発され使用されている。この種の舗装は「アスファルトラバー(AR)」や「ラバライズドアスファルト(RA)」と呼ばれている。バインダーに占めるゴムの量は一般的に20%であり、バインダー量は9〜10%と多めになっている。したがってトータルのゴム量は1.8〜2.0%である。この舗装には2種類あり、一つは密粒度タイプ(空隙10%以下)でもう一つが開粒度タイプ(空隙15〜19%)である。後者はアリゾナではAFRC、カリフォルニアではRAC-Oと呼ばれている。
ARの騒音特性に関するセッションが2010年にポルトガル、リスボンで開催されたInter-Noise2010の中で開かれており多くの報文を見ることができる [Inter-Noise, 2010]。2012年の10月にはドイツでAR舗装についての国際会議が開催されている。 (http://www.consulpav.com/ar2012/english/).

米国のARFCの騒音低減に関する研究では、約10dBの騒音低減が報告されている。興味ある結果であるが比較路面はかなり騒音の大きな路面であり、通常のアスファルト舗装との比較がなされていない。比較が行われれば違ったストーリーとなることが考えられる。スウェーデンでのわれわれの経験によれば、同じ最大粒径の混合物でARとSMA、ポーラスアスファルトを比較した場合、ゴムの混入により密粒度タイプでは0.5dB、ポーラスアスファルトでは同じ空隙率の場合1〜2dBの低減効果が確認できている [Sandberg, 2010]。
しかし、ゴムを混入させることはスクラップタイヤへの配慮であったり、バインダーの老化や摩耗の防止などの利点を有する。交通による動的な荷重があるところではクラックが「閉じる」という効果も見られる。その他、アリゾナのAR舗装の場合には13〜20mmの厚さで施工でき、資源とコストの節約に寄与できる。通常の密粒度アスファルト(アリゾナでは最大粒径9.5mm)の場合にはそのような厚さで施工することは困難である。ただし薄層施工のためには温暖な気候であることが必要であろう。
 
 


 


                                                                                

      

 

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